短期での予防接種完遂は困難です

小平市の65歳以上に7月末までにワクチンを打ち終えるとして。
その年齢の人口は2万8000人弱です。
60日で2回打ち終わるには、毎日1500人の接種が必要です。

当院の現在のキャパシティは1日200人くらいです。
休日ゼロで診療を大幅に圧縮していますが現状のスタッフ数ではこれが上限です。

小平市には120件以上の医療機関がありますが、新規を受け付けるのは7件です。

集団接種会場と7件の開業医と一つの病院が公衆衛生としてのコロナ予防接種に立ち向かっている状況ですが、6月半ばには対象年齢を広げろ、と政府は言っています。
(緑成会病院様が参加してくれました。感謝です)

14万人の2回接種 28万回を6件でやるには4万7000回ほど打たなくてはなりません。
当院のスピードでは233日 7〜8ヶ月かかります。

もちろん、大規模接種会場はもっと処理能力は高いでしょうし、他の6件が当院と同じ処理能力があるわけではありません。
(緑成会病院の高い処理能力には期待大です)
当院はたまたま待機スペースを拡張出来る構造だったため出来たので、他の施設がやる気が無いわけではありません。
また、他の施設は通常診療で手一杯でかかりつけ以外診る余裕がないという事情もありますし、開業医の高齢化というバリアもあります。

当院の処理スピードを上げるべく、さらなる増員を図っていますが、今度はスペース的な限界に近づきつつあります。

政府の計画する短期でのコロナ制圧は現状では極めて困難です。
医師のみならず、歯科医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師救急救命士などの総動員が必要です。

5月14日からの診療体制のお知らせ(現在の混乱に対応するため変更しました)

莫大な数の予防接種に対応しなくてはならなくなり、度々の時間変更で受診者の皆様にはご迷惑をおかけしております。
何月までやればいいのか?全く見当がつきませんが、一日でも早く、皆さんがマスク無しで笑って暮らせるようにがんばります。

【お電話】
新型コロナワクチンの予約や問い合わせは電話では一切受け付けません。
市役所コールセンター(0120-985-365)までお願いします。
これは通常診療機能を落とさないためのやむを得ない措置です。

【午前】
月・水・土は午前9時から11時まで。
検査は予約制でこの三日間です。
リモート受診時に検査月なら直接ご案内申し上げます。

火曜と金曜午前9時から11時まで、リモート診療(再診のみ)です。
ご来院頂いても中には入れません。
リモート診療時はワンマンバス診療です。
かかりつけの方はお電話頂けたら即座に処方しますが、初診は対応出来ません。

【午後】
毎日午後は新型コロナ予防接種の時間帯です。
電話再診は受け付けますが、ご来院いただいても館内には入れません。
また、受付の精算手続きや処方箋発行は接種が終わる夕方遅くまでお待ちいただきます。
予防接種希望者の津波に飲み込まれている間は無理です。
あまり期待せずにお気楽に電話して頂いて、たまたま隙間が空いていたら18時以降に薬局に処方箋を送れる場合がある、程度に思って下さい。

火曜・金曜はワンマンバス診療のため一人で全ての処方FAX連絡各方面との調整などをこなしています。
電話に出られない時間がかなりあります。
極力、午前9時〜11時にご連絡をお願いします。
処方箋は午前なら即座に出せます。

直接診察が必要な場合はリモートの日は避けて下さい。

【駐車場】
24日以降は150mのところにある程度の台数を確保してあります。

一般の方も午前中は余裕で駐車可能です。
近隣薬局さんご利用の方もどうぞお停め下さい。

ただし、午後の接種時間帯は肢体不自由者専用となります。
歩いて来院できる方のご利用は出来ません。
肢体不自由者のご利用で常時満杯になります。
近隣に公共駐車場はほとんどなく、路上待機も出来ません。
予防接種がパニックモードのため、路上占拠で渋滞が生じ、アナフィラキシー時の救急車が入れなくなり危険です。
そういうマナー違反者のために渋滞が生じたら予防接種を中止します。

ワクチン接種欄で、主治医の許可を得ているか?について、当院で担当しているお病気に関しては診察券番号を電話口で言って頂いたら即答します。
受診は必要ありません。当院にその疾患でかかりつけではない方のご質問には責任を持ってのお答えはできません。主治医の方へお願いします。

【新型コロナ予防接種】
新型コロナワクチン予防接種についてはこちらのリンクを御覧下さい。

【小児予防接種と健診】
小児の予防接種と健診だけは何が何でも優先隔離枠を作って実施します。
時間の融通も出来る限りつけます。
月水土の10時から11時、もしくは月水の15時〜17時に受付にご相談ください。
リモートの日は医師が余裕がある時は対応します。
ただし、日本脳炎ワクチンだけは大変な品薄になっています。
全く初回接種のお子さんを優先し、追加接種の方はしばらくお待ち頂いております。
(免疫力価は当分維持できていますから焦らなくても大丈夫です)

【新型コロナ発熱外来】
予防接種開始に伴い、基本的に閉鎖しました。
かかりつけ患者さんのみ月水金の9時から11時に電話予約頂けたらPCRと抗原検査が実施可能ですが、PCRが返るまでに現在混み合っており、2〜3日かかります。

電話はほぼつながりません

当院は受付やお電話での新型コロナワクチンの予約は一切致しません。
当院実施の接種予約は小平市から郵送されたWebかコールセンターを通じてしか出来ません。
接種時間になりますと、ほぼずっと連続で鳴り続けており、受付対応は全く不可能です。

新型コロナワクチンに関する電話でのご質問は一切お受けしません。
かかりつけの方には前回までの診察時に事前にご説明しています。
それ以外は小平市コールセンター(0120-985-365)にお願いします。

特に午前9時から11時の通常診療時間に受診以外のお電話はご遠慮下さい。
最低限の診療機能を維持するためのやむを得ない措置です。

例外は小児の定期予防接種や健診のご予約と、慢性疾患のかかりつけの方のお問い合わせです。
こちらは月水土の9時から11時、月水の3時から5時にお電話頂けたら可能な限り対応します。
午後は電話回線は全て封鎖しております。

お電話が繋がりにくい場合は、かかりつけ再診の方は玄関のインターホンを押して下さい。
こちらの方が手っ取り早いかも知れません。
小児科初診もこの方法でお願いします。
小児科に関しては比較的迅速な対応が可能な体制にしていますが、予防接種が始まると午後の余力が全て潰されるかも知れません。
小児の慢性疾患の方は事前に可能な限りの手段で対応しますので24日以前の通常診療時間にチャイムを鳴らして下さい。


追伸です

全国のクリニックがワクチンの問い合わせ電話のために麻痺している模様です。
当院は輻輳に対しては電話はでんわ、で対応します。
午前の再診や処方の方は他の来院者と距離をとりつつ玄関のチャイムを鳴らしてください。
受付や医師が飛び出して行って対応します。

先行開始になった全国各地のDr達と連絡は取れていますが、ほぼ医療崩壊と言っていい程の大混乱になっている模様です。
慢性疾患の方々の安全管理は遂行しつつ、出来る限り最速で社会接種率7割を達成するために、臨機応変に仕組みを変えていきます。
高齢者レンジ以外の接種が開始になった時が人口数から見てクライマックスと予想しています。
やれることは全てやります。

元災害医療の研究者ですので、他の地方で生じた混乱についてはケースをまとめて、医師会経由で小平市に対策をお願いしてあります。

ただし、いち地方自治体に出来ることには限界があります。
例えば、予算の枠を超えてコールセンターの増強は出来ません。(増税しますか?)
小平市はコールセンターの増強を実施しています。
大変な努力で関係者には頭が下がりますが、当然、その分の予算はどこかを今後削ることになります。
収税額をどう配分するか?を決定するのは公務員ではなく選挙を通じての市民の責任です。
役所に怒鳴り込むのは筋違いです。

ワクチンは既に十分量が国内のデポにストックされており、今生じているのは純粋に配分の問題です。
国民の数、ギリギリの量を間違いなく最大多数の人に届けるため、公務員達は奮闘しています。
彼らをあまり追い詰めないようにして下さい。
怒鳴って得することなど一切ないのです。

さらに追伸です。
全国で「一刻も早く注射を打ちたい」「電話がつながらないから役所でやってくれないか」と不要不急の外出をする老人が大量に三密を作っているようです。

そういう行動はむしろ感染して死ぬ確率が上がる、という自覚を持ってほしいものです。

既に国内デポに十分な量のワクチンは来ています。
品質を保ったままどうやって届けて接種するか?が問題なのです。
焦らずとも待てば必ず順番は来ます。

パニックで一気に医療機関に押しかけると危険です。
待合室も密度が上がると危険な空間になりますので各施設は適切な予約コントロールで調整をしています。

集団接種会場にバスを走らせる、という話もあるようですが、バスは乗降時に2mの安全距離を取るのが極めて難しく、しかも揺れるためあちこちを触らざるを得ない危険な空間です。
どうしても乗る場合は、窓を大きく開け、一切発語せずに利用するべきでしょう。降車してすぐに手指消毒を徹底させるべきです。

どこの会場でもスタッフの誘導には従って下さい。
安全距離を取らせるのに大変な苦労をしているのです。

オンライン診療の解禁について

現在は受診総数の1割まで、初診はダメ、など様々な制限がかかっており簡単に使える状況ではありません。

当院では現状では法で許された1割の枠は新型コロナ再診で使い切っており、一般の患者さんにまで使える状況ではありません。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA012TN0R00C21A5000000/

日本医師会は反対していますが、医師・患者さんお互いに便利ですし、医師個人の感触としては丁寧に運用したら良いものだと思うのですが。

月に一度、変化がないかお伺いして、3ヶ月に一度、必要な検査をすれば安全に管理できる疾患は多いのです。

秋の指針改定に期待しています。

変異型と長期計画

8割おじさんの西浦教授の非常にわかりやすい現状のまとめです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/10714161a18287baa6d0db26db29dabf01cf8996

西浦教授の解説には、コロナはただの風邪、みたいなトンデモナイ人たちが非難していますが、まともに医学を学んだもので異論を唱える人は殆どいません。
過去の定量的予告も高精度に的中しており、医学界での反対派も沈黙しました。

「20歳から40歳代で酸素投与を要する中等症の方が圧倒的に増えました。また、60歳未満も含めて肥満あるいは基礎疾患を持つ方を中心に重症化する患者が増えました。
 第3波では60歳以上の方で重症者の82.5%が占められていましたが、「第4波」ではそれが65%程度まで落ちてきています。これまでは20歳代や30歳代で感染しても軽症で治ってしまう方がほとんどでした。
 でも、英国株では、そんな若者も肺炎を起こしてしまい、苦しくて我慢できない程度になる方もいるのです。すると、中等症患者として入院して酸素療法をすることが必要になります」

「スローダウンさせるための協力は従来よりも遡及効果の高いものが求められますが、為政者が今の状態から“脱皮”して、「票」ではなく、真に国民のことを思って責任を取れるのか、真価が問われます。
 そう考えると、当面は緊急事態宣言の措置で実効性の高いものを見定め、措置のオンとオフを繰り返すことになるものだと思います。五輪イベントなどを前に短期的にオフにしようとしている場合ではないのです」

「英国株で多くが置き換わったいま、高齢者以外の成人も感染すると医療を必要とする事例が増えてきました。
 これは、高齢者の予防接種が完了すれば医療が逼迫するような社会的喧騒がすぐ終わるわけではないことを強く示唆します。酸素投与や人工呼吸が必要な生産年齢人口の患者をしっかり診ることが現場に更に課されることになります」

第3波とは頭を切り替える必要があります。
幸い、まだ小児の重篤例の報告はありませんが、当院受診で陽性判定された方で、20代で酸素飽和度が低下している例が出始めています。
数が集まると、入院例も出ると思われます。

7月末に高齢者の予防接種が終わったらただの風邪になるというわけには行かない模様です。
全国民の接種率を上げるとなると、年内いっぱいかかるかも知れません。
さらに、そこまで長期化するとさらに変異が起きる可能性もあります。
既に国内でインドで流行したタイプが検出され始めています。
予防接種の型をインフルエンザのように変えざるを得なくなるかも知れません。
また、予防接種の効果は今のところ半年程度しか治験データがありません。
世界規模で制圧が出来ない場合、季節性インフルエンザのように毎年打たなくてはならない、という事態もありえます。

状況は変わりつつあります。

COVIDキットを活用してください

徐々にCOVID疑いの受診者が増えてきています。

しかし、単純な風邪や下痢、PM2.5による鼻水と喉のイガイガを誤認して慌てている方も多く見かけます。

こういう時は熱を朝夕測りながら、COVIDキットで1日様子を見るのは良い手です。
そのための処方です。

ハッキリとした発熱、微熱が4日以上続く、咳がどんどん増えてくる、何となく息苦しい、と言った明らかな異常があるときはもちろんご遠慮なくお電話下さい。

COVIDキットはまだもう少しの間は有効期限が残っています。さすがに梅雨明けには切れ始めますが、その頃には高齢者の予防接種が進み、状況は良くなっていると予想しています。

今回の第4波がクライマックスです。
乗り切りましょう。